2011/07/31

ペンケースとレターナイフとブロッターと。

夏はいつも着用している作業着が着ていられない。そしてその作業着にいつも持ち歩いている万年筆を差しているので、夏は万年筆を持ち歩く術がなくなってしまいます。そこで専用のペンケースを買ってしまえ、と思ったわけです。

パーカー ペンラップ
http://www.pen-house.net/detail/detail02973_009.html

またロールペンケースです。ペンの保護には一番なので、やっぱり自然とロールペンケースを選んでしまいます。
質感はなかなか。色もなかなか。多少紫っぽく見えないこともないですが、そんなに気になりません。欲を言えば巻くための紐は別素材だったほうがアクセントになったかも。
ちょっと失敗したと思った点がひとつ。ロールペンケースの巻き方向です。
以前購入したペンクルスウェードポケットはペン挿し込み口を上とした場合、巻物のように右側からほどいていくタイプでした。これを以下、右巻きと呼びます。それに対して今回買ったペンラップ。これは左側からほどいていくタイプです。左巻きと呼びます。
右巻き 

左巻き

この右巻きか左巻きか。ロールペンケースを使用する上でかなり使い勝手に影響のある要素であると私は考えています。以下は私が右利きであるということを念頭に読んでください。
さて、すでに巻かれているペンケースからペンを取り出すことを考えてみましょう。ペンケースの紐を外し、ほどいていきます。ここでペンを取るわけですが、右手で取るならば当然ペンも右にあったほうが取りやすい。左巻きではペンは左側に出る上、まだ巻かれている部分が邪魔となります。おまけに必要以上に解けぬよう押さえておくべきである巻かれている部分は右側。左手では押さえにくい。さらに左巻きではペンケースをほどく際、左手にはペンケースの端を引っ張り、右手では巻かれている部分をほどいて送り出すという作業が割り当てられます。それがペンを取り出す段では右手はペンを取り出す、左手はまだ巻かれている部分の保持です。両方の手に持ち替えが生じます。右巻きでは左手に持ち替えは生じません。
次はペンケースを机に置いておく場合の話です。私はペンケースを机に置く場合、ほどけている側を手前、まだ巻かれている側を奥側に配置します。ペンケースの場所は机の左奥です。右巻きならばこの状態ではペン挿し込み口が右側を向くのです。ここで右手でペンを抜くならばペンをつかんだ状態で右に抜けばいい。しかし左巻きならばまるで逆。挿し込み口は左を向き、ペンを抜く場合は右手を左に伸ばしてペンをつかんだらさらに左に抜かなくてはいけません。
些細なことと思うでしょうか。しかしこれらの動作、繰り返すのは一度や二度ではありません。こういった些細なことの積み重ねが生産性の低下につながるのです。
当然左利きの方であれば、上の文章はそっくり逆になります。
これらの理由から左巻きを敬遠していたのですが、今回は確認がおろそかでした。しかしこれはペン収納数がたったの3本。上に挙げたデメリットも巻く長さが短ければゼロとはなりませんが軽減されます。ひとまずこれはこれでよしとしましょう。
また、このペンケースにはペン脱落防止用のフラップが付いていません。なのでペンケースを巻いた状態のままでペンの取り出しができてしまいます。邪道な使い方ですが、そんな使用方法も悪くないかもしれません。

KC Design レターナイフ
  http://www.pen-house.net/detail/detail06533_004.html
カッコイイ! 届いたときにまず思ったのはそれでした。持ち手のクォリティがとても高いです。
樹脂のマーブル模様は見ていて飽きませんし、上下の金属部分に彫られた花は彫りが深く非常に立体的。切れ味はレターナイフですし良くはありませんが、とにかく意匠がすばらしい。ほかの製品も欲しくなってしまいました。

ルビナート ブロッター
http://www.pen-house.net/detail/detail09101_009.html

長らく欲しいと思い続けてきたブロッターを購入しました。ついでに替えの吸い取り紙も。これは思ったよりも小さい。これならば持ち歩くことも苦ではないかもしれません。

……ほかは特にこれといって書くこともありません。ごく一般的なブロッターです。
インクフローの多い万年筆を使っていると、想像以上にブロッターが欲しくなることが多々ありました。これからはインクが乾くまで待つ時間も必要なくなったわけです。実用品としていいものを買ったと思います。

2011/07/06

カスタム823の分解清掃。

※写真撮るの忘れました。

カスタム823、早いもので購入から半年が経ちました。ペン先もなかなか歩み寄りつつあるようです。柔らかさはセーラーの21金ペン先に及びませんが、インクフローは素晴らしくぬらぬらとした書き味です。おかげでインクの吸入頻度が高く、またブロッターが欲しくなります。
さて、この半年間でどれだけの汚れがついたのか。掃除をしてみようと思い立ちました。

まずは普通にインクを抜き、水道水で洗ったあとにビタミンC溶液を吸入した状態で暫く放置。
……あまりインクが溶け出してきません。ほぼ毎日使っていたためにペン芯内に固着したインクが殆ど無いのでしょう。一晩放置は必要ないと判断しました。
さて、ほかが綺麗になると余計気になるインクタンク内のピストンが届かない場所にある固着物。こればかりは吸入と排出を繰り返して取れるものでもありません。そこで浮かぶひとつの単語、分解。

Google先生に「カスタム823 分解」と聞いてみると分解はそこそこ簡単とのこと。尻軸側は竹世さんに頂いたDiamond530の分解器具で分解できるので、問題は首軸側。さてどうしたものか、と首軸を左にひねってみたら簡単に外れました。拍子抜け。本当に分解は簡単ですね、これは。
尻軸側も左に回して外します。Diamond530では左ねじでしたが、823は普通に右ねじでした。
首軸・尻軸共に密閉はOリングを利用。こんなに簡単な作りでプランジャ式の生み出す負圧に耐えるんですね。Oリングって意外とすごい。
そこでちょっと思い出したのがLAMY2000の密閉方式。823と似たような長方形断面のゴムリングで密閉していたのですが……インクが滲み出るように漏れてきていました(分解組立後はまだ漏れなし)。この差はなんなんだ……。
閑話休題、分解した部品を一つ一つキムワイプでぬぐっていきました。するとピストンのゴム部から出るわ出るわ古典BBの固着物。こんなに溜まっていたとは……。
すべての部品を拭き終わったら、ピストンにシリコーングリスをちょろっと塗って再び組み立て。Google先生が「分解後は密閉が弱くなってプランジャが死ぬことがある」なんて怖いことを言っていたのでちょっと固めに締めます。結論から言うとプランジャは問題なく動きました。ひどい脅しだ。

組立後はどうせ水分なんて殆ど残ってないのですぐにインク入れました。洗いたての万年筆を新鮮な気持ちで使っているといくつか気づいた点が。
まず棚つりがなくなりました。以前はどうにもインクが首軸まで降りてこないので、毎回書くまえにちょっと振っていたのです。現代の万年筆でこんな操作が必要なんて……と思っていたのですが、この掃除のおかげでその必要もなくなりました。
あとピストンがたまに固くて動かないことがあったのが改善されました。パイロット純正の潤滑剤よりも台湾のシリコーングリスのほうが性能いいんですかね? モンブランBBだと潤滑剤を落としてしまうのかな?
もう一つ、これは棚つりの一原因だったものです。清掃前、ピストンに塗布されたパイロット純正潤滑剤は胴軸内にある首軸・尻軸付近のテーパ開口部に少しだけ溜まっていたのです。これがインク移動の妨げとなり、棚つりを起こりやすくしていました。これを拭きとりシリコーングリスに変えたことによりインク移動の妨げがなくなり、より棚つりの可能性が少なくなったのです。棚つりの第一原因は首軸付近の濡れ性の悪さ(拭いたらなぜかなおったけど)だったので、潤滑剤による影響はあまり大きくないのかもしれません。しかし改善の余地は十分にあるはずなので、パイロットは潤滑剤を変えるべきではないでしょうか?

今回の清掃によってさらに使い勝手がよくなった823。今なら一片の曇りもなく買ってよかったと言えます。