2011/07/06

カスタム823の分解清掃。

※写真撮るの忘れました。

カスタム823、早いもので購入から半年が経ちました。ペン先もなかなか歩み寄りつつあるようです。柔らかさはセーラーの21金ペン先に及びませんが、インクフローは素晴らしくぬらぬらとした書き味です。おかげでインクの吸入頻度が高く、またブロッターが欲しくなります。
さて、この半年間でどれだけの汚れがついたのか。掃除をしてみようと思い立ちました。

まずは普通にインクを抜き、水道水で洗ったあとにビタミンC溶液を吸入した状態で暫く放置。
……あまりインクが溶け出してきません。ほぼ毎日使っていたためにペン芯内に固着したインクが殆ど無いのでしょう。一晩放置は必要ないと判断しました。
さて、ほかが綺麗になると余計気になるインクタンク内のピストンが届かない場所にある固着物。こればかりは吸入と排出を繰り返して取れるものでもありません。そこで浮かぶひとつの単語、分解。

Google先生に「カスタム823 分解」と聞いてみると分解はそこそこ簡単とのこと。尻軸側は竹世さんに頂いたDiamond530の分解器具で分解できるので、問題は首軸側。さてどうしたものか、と首軸を左にひねってみたら簡単に外れました。拍子抜け。本当に分解は簡単ですね、これは。
尻軸側も左に回して外します。Diamond530では左ねじでしたが、823は普通に右ねじでした。
首軸・尻軸共に密閉はOリングを利用。こんなに簡単な作りでプランジャ式の生み出す負圧に耐えるんですね。Oリングって意外とすごい。
そこでちょっと思い出したのがLAMY2000の密閉方式。823と似たような長方形断面のゴムリングで密閉していたのですが……インクが滲み出るように漏れてきていました(分解組立後はまだ漏れなし)。この差はなんなんだ……。
閑話休題、分解した部品を一つ一つキムワイプでぬぐっていきました。するとピストンのゴム部から出るわ出るわ古典BBの固着物。こんなに溜まっていたとは……。
すべての部品を拭き終わったら、ピストンにシリコーングリスをちょろっと塗って再び組み立て。Google先生が「分解後は密閉が弱くなってプランジャが死ぬことがある」なんて怖いことを言っていたのでちょっと固めに締めます。結論から言うとプランジャは問題なく動きました。ひどい脅しだ。

組立後はどうせ水分なんて殆ど残ってないのですぐにインク入れました。洗いたての万年筆を新鮮な気持ちで使っているといくつか気づいた点が。
まず棚つりがなくなりました。以前はどうにもインクが首軸まで降りてこないので、毎回書くまえにちょっと振っていたのです。現代の万年筆でこんな操作が必要なんて……と思っていたのですが、この掃除のおかげでその必要もなくなりました。
あとピストンがたまに固くて動かないことがあったのが改善されました。パイロット純正の潤滑剤よりも台湾のシリコーングリスのほうが性能いいんですかね? モンブランBBだと潤滑剤を落としてしまうのかな?
もう一つ、これは棚つりの一原因だったものです。清掃前、ピストンに塗布されたパイロット純正潤滑剤は胴軸内にある首軸・尻軸付近のテーパ開口部に少しだけ溜まっていたのです。これがインク移動の妨げとなり、棚つりを起こりやすくしていました。これを拭きとりシリコーングリスに変えたことによりインク移動の妨げがなくなり、より棚つりの可能性が少なくなったのです。棚つりの第一原因は首軸付近の濡れ性の悪さ(拭いたらなぜかなおったけど)だったので、潤滑剤による影響はあまり大きくないのかもしれません。しかし改善の余地は十分にあるはずなので、パイロットは潤滑剤を変えるべきではないでしょうか?

今回の清掃によってさらに使い勝手がよくなった823。今なら一片の曇りもなく買ってよかったと言えます。

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