2013/02/17

LAMY Swift Blue (+ Frixion refill)


二本目。一本目はブラックでした。
http://illlorzlli.blogspot.jp/2010/09/lamy-swift.html

 最近は万年筆の使用頻度が下がり、ボールペンが大活躍しています。LAMY SwiftとLAMY2000 4色ボールペンの面目躍如です。
 そのSwiftですが、私はM66ではなくジェットストリームの改造リフィル1.0を入れています。M66はインクフロー過多なれど書き味よし、という評価をよく聞きますが、私はジェットストリームのほうが好みの書き味です。1.0という太さも影響しているのでしょう。
 しかし、Swiftに入れることができる改造リフィルはジェットストリームだけではありません。熱で消えるボールペン、フリクションのリフィルも入れることができます。しかもジェットストリームより簡単な改造で。

 ジェットストリームの改造は
1.リフィルの尻を削り、長さを合わせる
2.ペン先付近の金属と樹脂の境目を細く削る
3.ペン先にテープを巻く
の3ステップが必要です。特に2番目のステップが面倒で、リフィルを回しながらカッターで少しずつ樹脂を切り落とすのです。
 しかしフリクションのリフィルでは2番目が不要です。それだけでだいぶ楽になります。
 難点としては消すためのラバーがないことでしょうか。純正フリクションかフリクション用消しゴムを利用する必要があります。大した問題でもないですが。


 本体ですが、二本目ということで特筆するようなことはあまりありません。ノック状態での転がり防止が本体の色にかかわらず黒だということに気づいたこと、一本目よりも芯の出が短いことくらいでしょうか。後者は個体差なのでしょうね。
 質感は思ったよりもマットです。


 余談ですが、交換用に買ったジェスト芯が途中に空気が入っている不良品でした。まともに書けない。新しい芯を買い直しました。

2012/11/17

趣味の文具箱×Sailor Professional Gear Realo NMF


 趣味文限定ブルーのプロギアレアロ、長刀です。
 店員さんが通常ラインのレアロに長刀はないとおっしゃってましたが、セーラーショップで受注生産品ながら普通に売っていますね。ちょっと騙された気分。


 私は長刀を初めて使いますが、このペン先は入手以前から日本語に最も適したペン先だと思っていました。なぜなら多くの太字万年筆と違い、このペン先は縦細横太の描線が引けるからです。
 そもそも漢字を最も美しく書ける筆記具といえば筆以外にないでしょう。その筆も縦細横太。筆と似た描線の長刀が美しい日本語を書けることは自明でしょう。
 対して万年筆の一般的な太字は縦太横細。アルファベットを書くには優れた形ですが、漢字を書くには……。面白い、という評価はできても適しているとは言いがたく思います。
 カリグラフィーペンで書いた文字と比べても、長刀のほうが整った印象に見えます。これのグレードアップ版のようなキングイーグルも欲しくなってしまいます。
 線の太さはNMF、つまり長刀中細となっていますが太いです。国産M相当であるWAと比べても全く違います。
 また、ペンの角度によって線の細さを変えることができます。ただこの太さ、この描線に惹かれて手にしたものなので、それを最大に生かせる角度以外では書く気がおきません。

 書き味はそこまで良くはありません。インクの粘度も少々低いようですが、それでもサリサリとした抵抗があります。自己調整したM1000のぬらぬら加減と比べると、やはりそこまで気持ちよさはありません。まあこの描線が引けるなら些末事です。

 軸ですが、非吸入のプロギアに比して違う点は一見して三箇所です。インク窓、尻軸長さ、そして天冠。インク窓と尻軸は吸入式のための変更ですが、天冠はちょっと残念。以前買ったプロギアは立体的な錨のマークでした。銀一色なのは塗料が剥がれてしまったからです。そして今回買ったレアロの天冠は印刷しただけのようなのっぺり感。高級感は確実に落ちています。
 そして見た目以外で驚いたことが一つ。このペン、とても軽いです。通常のプロギアと比べてみたところ、なんと吸入式でありながら通常のものよりも軽くなっています。秤で計測してみると
通常:25.3 g
レアロ:21.2 g
と、なんと4 gも軽い。インクを入れたままなので正確な数値ではありませんが、16%の軽量化は持った時にはっきりと感じることができます。これだけ軽いということは、吸入機構の殆どの部品は樹脂製でしょう。初期投資が大きいにもかかわらず樹脂部品を多く利用するということは、それだけ軽量化にこだわり、そしてレアロに期待しているということなのでしょうか? 後者はおそらく違うように思いますが。
 ここまで軽量化されたレアロですが、重いペン好きな私にとっては好ましいことではないんですよね……。リアヘビーも嫌いじゃないですし。まあ、悪いとは言いませんけど。
 軸色は趣味の文具箱のイメージカラー、青が採用されています。また、天冠と尻軸、首軸は黒い樹脂のままです。深く暗い青と黒の組み合わせはなかなか合っています。
 ペン先は銀一色です。本当はバイカラーが好きなんですが、この軸には銀一色のほうがいいかもしれません。

 また、インク瓶がひとつついてきます。名前は趣味の文具箱ブルー。ナガサワで買ったら同じインクをもう一瓶つけてくれました。今回買ったペンにはストレートにこの付属インクを吸入。
 私は明るめの青はデュポンのロイブルしか持っていませんでした。そのロイブルを買ったときは鮮やかではっきりした青だと思いましたが、今回のブルーを見たあとではくすんで見えます。
 またもや前回使った色見本を再利用。一番下が趣味文ブルーです。
 赤みを殆ど感じず、彩度高く、濃いのに明度は低過ぎない。これを青と言わず何を青とする、と言わんばかり。ロイブルは紫がかっていると言いますが、ようやく理解できました。青は色相環では赤と緑の間ですが、このインクはどちらにも偏っていない、純粋な青に見えます。
 また、セーラーの青ということで赤光りを心配していましたが、大したことはありませんでした。
 しかしこのインクは鮮やかすぎる。こればかりを使っていると目が疲れてしまいそうです。そんな時はデュポンのロイブルがいいですね。このインクよりもわずかに彩度が低いのですが、その少しの差が優しげな印象を与えます。

 インク瓶の他におまけがもうひとつ。ASHFORDの革のキーホルダーです。あんまり活用法が見いだせません……。特にキーホルダーつけるようなものもありませんし。

2012/10/14

TI Nspire CX CAS


 文具の情報を求めてこのブログを閲覧している人には耳慣れない名前でしょう。それもそのはず、今回は電卓の話です。


 この電卓、ひと目で分かるでしょうけど並の電卓ではありません。普通の電卓にはカラー液晶はついていませんし、AからZまでの独立したキーもありません。


 さて、この電卓の持つ機能を列挙していきましょう。
 まずはこれがなくちゃ電卓とは呼べない、計算機能。CAS(数式処理システム)が搭載されているのでいろいろなことができます。
 次にグラフ機能。二次元のグラフはもちろんのこと、三次元のグラフまで描画可能です。
 グラフ機能と少し似ていますが、作図機能もついています。
 また、スプレッドシートの編集も可能。持ち運び可能なexcelのようなものです。
 さらにそのスプレッドシートで編集したデータをプロットしたり、回帰分析をしたり、ヒストグラムを表示する機能もあります。
 あとはテキストエディタ。キーボードがQWERTYではなくABC順なので使いにくいですが。
 おまけにVernier社のセンサを電卓につなぐことで、データ採取もできちゃいます。(しかしこの会社のセンサは高い!)
 電源は電池ではなくバッテリです。


 まずは計算機能。CASというのは素晴らしいもので、方程式の解を求めることはもちろん、因数分解や微積分までできてしまいます。その積分も一般的な関数電卓の数値積分ではありません。不定積分が求められるのですから驚きです。
 例えば∫[0→1]cos(ln(x))dxは、数値積分ではlim(x→0)がcos(∞)と振動してしまうので値が定まらず、求めることができません。しかしCASならばちゃんと1/2と正しい答えを返してくれます。それも一瞬で。
 関数電卓の積分機能を利用したことがある人ならばわかると思いますが、数値積分は答えが出るのが遅いのです。CASIOのfx-913ESは∫[1→2π+1](cos(x))^9 dxを計算するのに1分15秒で0を返します。また、数値積分ですので[0→2π]と[1→2π+1]では答えが変わってきてしまいます。Nspireでは1秒もかかりません。一瞬で0を表示します。範囲が移動しても影響ありません。さらに∫[1→2π+1](cos(x))^99 dxを計算すると2分30秒で2.635460236×10^-15です。Nspireではこの関数をCASで計算すると膨大な時間がかかってしまいますので、数値積分を使って計算します。結果は約1秒で-9.41×10^-14。早い。けど精度は一桁分落ちましたね。
 しかし、この電卓にはPC用のソフトウェアがついてきます。内容は全く同じ。そちらで計算すると5.969×10^-16です。Handheldに比べて二桁分精度が上がりました。さらに、そこそこ性能の良いPCを使えば、この膨大な計算が必要なCASでの積分も10秒程度で計算してくれます。答えは当然0です。
 また、内部の桁数もかなりあるようです。一般的な電卓は内部12桁、表示10桁が多いようです。こういった電卓ではたいてい10^99までしか計算できません。階乗で言えば69!が限界です。対してNspireはなんと、10^999まで対応しています。449! = 3.85×10^997なんて計算までしてくれるのです。
 また、表示できる桁数も尋常ではありません。たとえば70!は11978571669969891796072783721689098736458938142546425857555362864628009582789845319680000000000000000まできっちりと表示してくれます。内部は何桁で計算しているのでしょうか。
 虚数の計算にも対応しています。適当にcSolve(x^4 - 3x^3 + 8x^2 - 15x + 12 = 0,x)を計算してみると
x=1.4098829224799+0.57683993545399i
x=1.4098829224799-0.57683993545399i
x=0.0901170775201+2.2722558464281i
x=0.0901170775201-2.2722558464281i
なんて数字を出してくれます。当然虚数を考慮しないSolveもあって、そちらでの解はfalseでした。
 i^iもe^(-π/2)まできっちりと表示。素晴らしい。
 ひとつだけ不満があるとすれば、物理定数が入っていないことでしょうか。私が見つけられないだけなのかな? 自分で簡単な関数を作ってしまえばいくらでも入れられますけどね。


 グラフ機能。2Dグラフも面白いですが、なんといっても3Dグラフが楽しい。その3Dグラフはバージョン3.2でパラメトリックという項目が増えました。これによって球などの図形も表示できるようになっています。このグラフ、もちろん視点をグルグルと回すことも可能です。
 2Dグラフではグラフの交点を求めたり、積分値を出したりといった機能があります。

 作図機能……すいません、使い方わかりません。












 スプレッドシートとデータ統計機能では、こんなふうに画像にある曲線上に点をプロットし、その曲線の関数を求める機能もあります。回帰分析以外にもヒストグラムを表示したり、正規分布の偏差を求めたり、t検定やΧ二乗検定ができたりします。やたら多機能です。

 ノート機能は数式の埋め込みなんかができる以外はただのテキストエディタで、DataQuestはセンサを持っていないので使えません。

 実に多機能。その上、計算の精度もCASによって素晴らしいものとなっています。CASが使えない計算でも桁数が多いため、相当な高精度を必要とする場面であっても実用に足るでしょう。他の電卓でできてこの電卓でできないことなど、逆ポーランド記法くらいではないでしょうか?


 まだまだこの電卓は多機能すぎて使いこなせていません。使ったことのない機能や関数がいっぱいあります。中には金融電卓のような機能もあるようで、使い方以前に用途がわからないようなものも多いです。
 これを使いこなせるようになるには苦労するでしょう。マニュアルも英語とフランス語のものしかありません。買う場所によっては日本語マニュアルあるらしいですけど。

 これを買う前はCASIOのfx-CG10と迷いました。が、こちらを買って非常に満足しています。値段さえ問題にならなければNspireを買うべきでしょう。

2012/09/15

EverBest? 詳細不明


 貰い物です。クリップ形状からおそらくパイロットかと思われます。パイロットってこんなネタ万年筆作ってたんですね……。



 一緒に写ってるペンは823とM1000です。決してM300やM400ではありません。M1000です。

 おそらくパイロット、とはいえどこにもパイロットとは書かれていません。読み取れる文字はクリップに「NEW CLIP」、キャップリングに「R14K」、胴軸に「Ever best TOKYO」、ペン先に「IRIDIUM PEN」です。Ever Bestってのは聞いたことがありませんが、パイロットではなくこれがメーカー名なのでしょうか? もともと現存しないメーカーについての知識は皆無です。



 軸の大きさと相まってペン先も大きいです。繰り返しますがペリカンのペンはM1000です。823ももちろん15号ニブです。この写真じゃ5号と言われても信じそうですね。LAMY2000のペン先と比べてみたら大きい大きい。とはいえ、多分149やキングプロフィットには負けるでしょうけど。
 軸には何か塗ってあるようです。もしかして漆でしょうか。しかし漆塗りの質感を知らないのでよくわかりません。

 ペン先は現代の平均よりは多少柔らかめでしょうか。しかしM1000には劣ります。


 インク吸入方式はおそらくインキ留め? しかし首軸が外れないのでどのようにして入れるのか不明です。尾軸のネジ長さと抵抗感の低さから、プランジャとは考えにくいです。単に色々と死んでいるだけの話かもしれませんが。どのみちプランジャでも首軸が外れないのはメンテナンス性の観点からマイナスです。
 ペン先にはインキのカスが残っています。もともと古典BBが入っており、それを赤インクに変えたと思われます。水につけるとプラチナの赤のようなインキがでろでろと……。

 尻軸を緩めた状態で水入りのコップにペンを沈め、少し置いてから引き上げると水が流れだしてきます。これは尻軸側の気密が死んでいるためです。何らかの方法でインキを入れたところで、ボタ落ちばかりで使い物にならないであろうことがわかります。尻軸をきちんと締めるとボタ落ちはしませんが、少し緩めただけでアウトです。なんのためのペン芯なのでしょう。
 ペン先を抜いてみようと試みましたが、古典BBらしき固着が固く抜けません。別に苦労して抜きたいとも思いません。アスコルビン酸で還元しようかとも思いましたが面倒なのでやめました。

 インキは入れ方がわからない。入れたところでボタ落ちする。しかも尻軸からインキが漏れてくる。私にはブログのネタにする以外の使い道が浮かびません。
 で、結局このペンはパイロットのペンなのでしょうか? 何かご存知のかたはコメントなりtwitterなりで知らせていただければ幸いです。

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2012/09/16 追記

 何人かからtwitterにて情報を教えていただきました。
 このペン、パイロットではないそうです。この形状のクリップは昔はいっぱいあったそうで。矢羽根クリップのパーカーすら丸玉クリップを採用していた時期があったとか。
 そしてメーカー名ですが、やはりEver bestだそうです。ただしEver bestはペン先メーカーで、軸に刻印があるものは珍しいとか。
 しかしEver bestは卸売業者であるという説も……。また、クリップの「NEW CLIP」は個人で製造した万年筆によくあるものとの情報も。

ぺん★ぱれーどっ!
EVERBEST Fountain Pen 14
http://blog.livedoor.jp/pen_parade1000/tag/EVERBEST

masahiro万年筆製作所の万年筆
メーカーは「NEW CLIP」!?
http://masahiro14k.blog67.fc2.com/blog-entry-36.html

 さて、いろいろな情報があってこのペンの出自を正確に特定することはできなさそうに思えます。もとよりどうしても知りたいわけでもありません。

 また、このペンはやはりインキ留め式のようです。よくよく見てみれば、首軸とネジ部との境目にわずかに段差が見受けられます。おそらくここから外れるのでしょう。
 尻軸の気密さえ修理すれば復活すると言われましたが、M1000がともすればM300に見えてしまうような常識はずれの太軸、修理したところで何になるでしょう? M1000でも少々太過ぎに思えているのに。持ち歩きもできませんしね。
 手間をかけて修理する意義は私には見いだせません。やはりこのペンは引き出しの中で死蔵されることとなるでしょう。